「それでも支えられる」使徒言行録14:19-28

22節「『わたしたちが神の国に入るまで多くの苦しみを経なくてはならない。』と言って、信仰に踏みとどまるように励ました。」

 これは使徒パウロによる第一回目の伝道旅行の最後で、クリスチャンになりたての新しい弟子たちを励まし、出発地のアンティオキアに戻る場面です。クリスチャンになってホヤホヤの弟子たちに、この言葉を遺していく。そのままでは重いのではないかと思われます。しかし、これは、使徒パウロが第一回目の伝道旅行を終えるにあたり、今までの歩みを総括して語った言葉です。想像ですが、その時パウロの顔は輝いていたことでしょう。使徒パウロ自身が、伝道旅行をするにあたり、多くの苦難を経験しているのです。伝道を進めることにも幾多の困難が伴いました。この箇所の直前では、ユダヤ人たちによる石打ちというリンチ(私刑)によってパウロ自身が死にそうになっています。そんな苦難を経験した中で、そしてとことん弱さということを味わい知った中で、聖霊がパウロの内で働いて根底から支えられる経験をしているのです。「多くの苦難がある、それでも支えられる。だから、大丈夫なんだ。」という証し、活き活きとした信仰が、先ほどのパウロの言葉に裏打ちされていたのです。だからこれが励ましとなっているのです。

わたしたちにも、石が降ってくることがあります。矢や槍が飛んでくることもあります。背中から切られることだってあります。無力さに打ちひしがれて布団にくるまって眠るしかない、そんな夜を過ごすことだってあります。しかし、主の御手がわたしたちを掴んでくださっている。ゆえに、わたしたちは立ち上がっていくのです。信頼しましょう。